整形外科の業務は外来・病棟・検査・手術に分かれます。
外来では肩こり・腰痛・膝関節症など整形外科の三大疾患と言われる頻度の高い疾患を薬やリハビリ(電気治療・牽引療法・温熱療法・運動療法など)を中心に治療しています。また、指の骨折や、足首の捻挫など程度の軽い外傷も、通院で治療を行います。交通事故でのムチ打ち症や打撲なども外来治療の対象ですが、痛みや腫れが強い場合や、気分不良や食欲不振を伴うような重症例では、入院治療も選択していただけます。
背骨や手足の大きな骨の骨折で安静が必要なもの、全身麻酔や半身麻酔で手術が必要なものは入院治療の対象になります。高齢者の脊椎圧迫骨折や、大腿骨頚部骨折、上腕骨近位端骨折、前腕骨遠位端骨折が増加しております。
MRI検査が一般的に行われるようになり、筋肉や靭帯・軟骨など従来のレントゲン検査では分からなかったものが、造影剤などを使わずに描出可能になり、一般的にも広く認められるようになりました。しかし、脊髄神経根造影など機能的・治療的検査では造影剤検査が優れている場合もあり、症状に応じた検査方法を行っております。また、骨折や骨の癌など、骨自体の検査としては、MRIに比べて一般のレントゲン検査やCT検査のほうが有効な場合が多く、これらを個々の症例に応じて、適切な検査手順を組み合わせております。最新検査機器、DWIBSを導入し、PETーCTと比べ放射線による検査の被爆が少なく、検査費用も安価になり所要時間が短縮されました。
手術の多くは高齢者の骨粗鬆症に併発する骨折で、大腿骨頚部骨折、上腕骨近位端骨折、前腕骨遠位端骨折です。
高齢者の多くは骨質が脆く、強固な固定が必要ですが、術後のリハビリをスムーズに行うためにより侵襲の少ない最小侵襲が望ましいとされています。
また、百人の患者様がいらっしゃれば、同じ骨折であっても百通りの治療法が存在するともいわれております。
我々は、個々の患者様の骨折状態・全身状態・精神状態・社会環境・家族構成等を検討し、それぞれに応じた最良の手術方法を採ることを心掛けております。
そのほか、アキレス腱断裂や靭帯断裂の手術、人工関節や腰椎椎間板ヘルニアや頚髄症の手術なども行っております。
最近の医療機関は機能が細分化され、また、特定機能病院や先端医療研究所など特殊な機能を司る施設では特殊な治療のみが行われ一貫した治療が受けられないと言う弊害も持ち合わせております。
しかし、多くの患者様は特殊な治療を必要とせず、同一施設での一貫した治療がもっとも望ましいと考えます。
当施設では、外来担当医が入院時にも主治医となり、また手術が必要な場合の執刀医として対応しております。
術後のリハビリでは、必要に応じて回復期リハビリ病棟に移っていただき、リハビリ治療に専念していただきますが、その際もリハビリ専門医・スタッフと協力して主治医としての立場を全うしております。
更に、介護が必要な方には「摂南の郷」などの介護施設と連携し、デイケアや入所紹介を行い、「初診窓口から社会復帰までの一貫した治療・支援体制」が確立しております。